2008年12月20日

月が綺麗ですね

夏目漱石が教師時代、生徒が「I love you」を「我ハ君ヲ愛ス」と訳した時、こう言ったそうです。
つまり直接的に表現しなくても「月が綺麗ですね」と言えば日本人には伝わるのだと。
このエピソードは日本という国をとても言い表しているなあと思います。情緒的でとても意味深い。
直訳すれば確かに「愛しています」が正しいのかもしれません。でもその気持ちを持って口にした言葉なら、すべて「I love you」になるんだなあって思ったことを覚えてます。
「愛しています」と日本人が言う時。それはとても大きな重たい意味があるのではないでしょうか。
だから安易に口に出来ない。そのぐらい簡単に言えない言葉のように思います。

言葉にしなければ気持ちがないのか、と言えば決してそうではありません。
日本人は、言葉にしなくても気持ちを伝えられることを知っているのです。
それは日々の思いやり、人への感謝の気持ち、素朴だけれど小さな言葉や行動にその気持ちを込めて、また、それを感じる。そんな文化の中で育ってきたからではないでしょうか。
日本文化の優れたところは、表現しない巧みさにあると思います。それだけにその気持ちを見せたときの強さは、おそらく強固な意志を持ったものであるはず。
その優れた日本人の気質とも言うべき含みをなくしてしまって、どうして日本の良さを残していくことが出来るでしょうか。
この世の中には、たくさんの色があります。白と黒だけの水墨画にだって濃淡があり、決して2色ではないのです。
心を表す方法は一つではない。それこそ、わたしが一番大切にしたいことの一つだったりします。
posted by USA at 16:09| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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